消費税アップはそのまま企業の資金繰りに影響を与えます。
受け取る消費税を売上に100%転嫁できれば問題はないのですが、調査によると、今でも消費税を売上に100%転嫁出来ていない企業は、全企業数の40%程度もある・・・というデータがあります。支払いには消費税を追加で納め、売上ではもらえないとすれば、この差額の自己負担額は、資金繰り上での命取りにもなりかねません。
消費税倒産がおきると言われる理由がここにあります。
では、どうすれば弱い立場(消費税の転嫁がしづらい)の企業が、この消費税倒産を防ぐことができるのでしょうか?
その最大の特効薬が「売上」です。
ご存じのとおり、売上が損益分岐点売上を超えたら、超えた部分の粗利益はそのまま純利益となり、企業の資金繰りを好転させます。多少の消費税納入金額はここで稼げるでしょう。つまり、「売上」に徹底的にこだわり、これを伸ばしていくことで、消費税上では不利な条件下でも、企業継続が可能になるということです。「売上は最大の特効薬」といわれる理由がここにもありますね。
そんなに簡単にいくモノか?・・というお叱りは承知の上で、それでも今すぐに手を付けるところから始めましょう。
売上は【客単価×購買客数】で決まります。さらに客単価の高い商品はそう何度も購入してはくれません。逆に客単価の低い商品は、何度も購入してくれることが多いです。
これが購買頻度という指標です。
売上が下がるということは、その殆どが客数の減少です。
少子高齢化の日本では、この先黙っていたら間違いなく客数は減りますから、ここでは減らさない・増やしていくことを念頭に考えていきます。
購買客数を常に新規客で取ると考えたら、膨大な数の新規客を常に獲得し続けることが必要になります。これはどう考えても不可能ですよね。
大切なのは、購買頻度を上げること。いわゆる、固定客作りです。
この固定客(ヘビーユーザー)を増やすことが、売上を確保する・安定させる・伸ばす、最大の要因と言っても過言ではないでしょう。
では、固定客はなぜ何度も同じ店に、同じような商品を買いに来るのか、皆さんは考えたことがありますか?お客様とお店を繋ぐものは「顧客満足」だけでしょうか?
最近ではスーパーに行くと、生産者の顔が見える「トレサビリティ(生産者履歴)」と呼ばれる演出がよく成されています。この狙いは何でしょうか?
それは「顧客納得」です。
そこでは、「顧客納得」とは「顧客満足」を超えるモノとして位置付けられています。
そこで重視されているのは、商品が持つ「性質」「機能」「スペック」だけではありません。
この信頼を得る為には、さらに、作り手の顔・会社内容・売ろうとする背景・態度・会社の歴史・こだわり・由来などが必要になるのです。
信用を得ようとするならば、これだけのことが必要になるということですね。
「満足は必ず次の不満足を生む」とよく言われます。
満足度は人によって千差万別であり、満足度指標などでは捉えきれないのです。
満足は永遠には続きません。やがて不満足が訪れるのが、世の常です。
これからのファン作りのためには、「顧客納得」が必要であり、これを得るために会社を挙げて考え・実践していかなければなりません。そこから生まれるのが「顧客信頼」となり、これが強烈な固定客作りの武器になるということです!
では、どうしたら「顧客信頼」を作るコトが出来るのか?
・・・それは次回のお楽しみに!
一般論として 経営者が車を購入する時は2つの対象があります。
1つは社用車(トラック・営業車など)、もう1つは社長用です。
ここではこの2つに分けて考えてみましょう。
今の車が壊れたからという理由ならば、早急に買い換える必要があります。
しかし、性能が落ちたからとか、新車が出たから、修理代がかさむから・・という理由で、緊急性が薄い場合、購入を引き伸ばす事ができる状態ならば、ここは買うタイミングを考えましょう。
一番効果的なのは、会社の決算に合わせて購入することです。今期の予想決算が大幅な利益を見込まれるときには、すぐにでも購入しましょう。経費となる減価償却費をたくさん計上できるからです。借り入れやローンでの購入であれば、この金利も経費にできます。これが決算期末になると、減価償却費が月割りとなって、少なくしか計上できませんので、もったいないです。
また新車ではなく中古車で購入すると、法定耐用年数が新車よりも短くなり、その分価償却費も多くなりますので、これもメリットの一つです。
経営者が自家用車として購入する場合には、会社用が殆どでしょうし、営業上の信用にも関わりますから、一般的にはちょっとだけ高級車くらいの車を買うのが普通です。私はこれに加えて、もう一つの考えを持っています。それは、経営者は絶対に安全な車に乗って欲しいということです。
私は特に高速を使う事が多く、これまで多くの交通事故現場に遭遇してきました。ペチャンコになった車を見て、運転手の大けがが予測されることもあれば、逆に無事で良かったと予測される車もあったのです。
経営者は身体一つで頑張っています。その代わりはいない!・・と言っても過言ではありません。事故にあっても、車は買い換えることが出来ますが、経営者の身体はそうは行きません。
命を守る・会社を守る!という視点からも検討しましょう。
平成26年4月より、消費税アップ(5%→8%)が決まりました。
このアップ分を そのまま価格転嫁できれば何の問題もないのですが、国税庁の調査によると、現在でも 消費税をそのまま価格に転嫁出来ている企業は、全体の50%に満たないとのことです。まり自分が負担している企業がまだたくさんあるということですね。
こんな状態でさらに3%もアップしたら、これは資金繰り上の死活問題につながります。
この消費税アップ分を転嫁できない、100%転嫁しづらい企業にとって、やるべき事は何か?それが、この社内経費の見直しです。もう一度、今の経費構造を見直すことで、この3%アップ分を内でカバーできたら良いですね。
ここでは簡単に見直すことができる経費の見直しの方法をご紹介いたします。
【1】 総勘定元帳
【2】 マーカ-3本(緑・黄色・ピンク)
経費削減をするうえでまず行わなければならないことは、現在の経費の見直しです。
まずは、総勘定元帳の経費科目をひとつづつ眺め、仕分けの一つ一つをマーカーで色分けしましょう。
■ 売上を作るのに必要な経費は緑(販売費・広告宣伝費など・・・)
■ 会社を維持運営するのに必要な経費は黄色(水光熱費・家賃・利息など・・・)
■ 上記の2つの属さない、ムダと思われる経費はピンク(交際費など・・・)
緑マーカーに色分けされた科目
基本的にはカットする必要がない科目です。逆に少ないかも?・・という視点が必要かも。(販売費・広告宣伝費など・・)
但し広告宣伝費は効果を測定する必要があるでしょう。
黄色マーカーに色分けされた科目
主に売上に関係なく出て行く経費がここにきます。
少しでもカットできないか交渉しましょう。
(家賃・支払利息・通信費・消耗品費・車両費・修繕費・保険料など・・・)
ピンクマーカーに色分けされた科目
この色が付いた科目は、真っ先にカットするものです。
通常は経営者本人に属するものが多いのが特徴です。講師の区別をハッキリとつけること。社員から見て、目に見えるものをカットすることで、社員も経営者の本気度を見ることができ、合理化にも協力的になるでしょう。
(交際費・諸会費・旅費交通費・経営者に関する車両費・経営者保険など・・)
経費削減で一番してはならないのが、一律○○%カット!・・というやりかたです。
このマーカーで色分けされた、それぞれの経費をキチンと見直すことで、メリハリのある経費削減を行うことが大切です。
次に第一次改革案が出たところで、社員さんを巻き込んで、さらに検討して下さい。経営者の視点とは違った見方・考え方があるでしょう。ここの意見の統一がないと、せっかくの計画も全社的理解と協力を得られませんから、当初の削減計画を達成するのが難しくなります。
マーカー別の担当者を決めるのも良いかもしれませんね。さらに大切な事は「期限」を決めることです。ダラダラやっていては時間のムダ。その間もキャッシュは垂れ流し状態ですから最長でも1ヶ月としましょう。
注意することは、せっかく協力してもらう社員の人件費カットには、最後まで手を付けないことです。 社員のリストラが先行する計画では、かえって社員の離反を生みかねません。全社的構造改革には、社員の理解と協力は不可欠なんです。
この経費削減を全社的に進める中で、これまでの経費構造~売上獲得構造までが見えてきます。良いチャンスです。スリム化し、筋肉質化することで、強靱な体質に変革できたらGOODですね。中小企業が大企業と比較して弱いとされる「システム化」が出来るきっかけになって欲しいものです。
来年4月1日から消費税が8%にUPします。
企業経営の現場では、このことに対する防衛策を直ちに考えて実行する必要があります。
原材料や商品を仕入れる業種(製造業やおろし小売業)は3月まで仕入れには5%の消費税がかかり、4月1日からの仕入れには8%の消費税がかかります。つまり、たった1日の違いで消費税を3%も余計に払わなくてはなりません。したがって原材料や商品によっては3月31日に向けて買占めによる品不足や品不足からくる値段の高騰が予測されます。モノによっては今のうちから買いだめておくことも必要ではないかと思われます。場合によっては銀行から安い金額で借り入れても買い占めたほうがよいかもしれません。
4月以降で買い換えるような機械や備品、車両などは3月中に買ったり買い換えたほうがお徳かもしれません。
これらはそもそもの金額が高いので消費税3%の差は大きいからです。
消費税UPの8%分を商品(サービス)に転嫁できるものへ大至急グレードアップしましょう。仕入れや経費には間違いなく消費税8%がかかってきます。もし現在の商品(サービス)に消費税8%分を転嫁できなかったらその分は自腹を切ることになります。したがって消費税を納税するときには相当な自己負担となってしまうからです。
例としてペットボトルのお茶でも一般のお茶はディスカウントストアでは80円~120円くらいで売られていますが、トクホのお茶(ヘルシア)は180円という単価を崩さなくても売れています。そこでは効能の差がはっきりしているから、消費者は指名買いをするのです。このように同じ商品でも「付加価値」をつけることが商品力をUPし、差別化されブランドとなって高くても売れていくのです。
これは私がこれまでの財務改善の中で経験した話です。
熊本市内にある地元郷土の民芸品を売るお店がありました。
老舗なので社会的な認知度も高く、外見からは結構繁盛している店と見えていました。
しかしある時、経営者から資金繰りの相談を受けたので始めて決算書を見せてもらいました。見せてもらってびっくり。1つは在庫がかなり多いということ。理由を社長に聞くと、民芸品なので多種の商品を揃えておかなければならないからだということでした。
もう1つは借入金が売上に対してかなり多かったことです。 仕入れてもすぐに売れる商品ばかりではないのでいつも資金繰りが悪くその分借入金に依存していたのです。
私はすぐに改善に取り掛かりました。
社長とともに商品台帳と得意先台帳の2冊を詳しくチェックするところからスタートしました。まず、商品台帳からは商品の絞りこみを始めました。やっているうちに在庫として残っている商品の50%は1年以上売れていないことが判明しました。そこで商品を、下記のの3つに分類し、商品構成と店内のディスプレイを大幅に変更しました。
1.すぐに売れる商品
2.おいておけばぼちぼち売れる商品
3.季節がきたらそれなりに売れる商品
さらには得意先台帳からお得意様を絞り込み、効果的な営業や販売促進を行うことにしました。これまでは相手からの一方的な注文に対して納品していたのを相手に応じて提案型の営業を行うことにより、 お得意先1件当たりの売上や粗利益が大幅にアップすることができました。
このことで商品の回転率が大幅に改善され、回転率が良くなることで以後の借入金もほぼ不要となりました。
ここまで資金繰りが悪くなっていた原因はお客様の注文一つひとつをまじめに受けて、 お客様が注文した商品は必ずお店に揃えておこうと間違った顧客満足に陥っていたことです。このため必要以上に在庫が膨れ上がってしまい、在庫がいつまでたっても現金にかわらないため、 結果として資金繰りに逼迫していました。つまり在庫を整理することと提案型営業に替わることですべてが解決の方向へと向かったのです。
ある衣料品小売店が銀行に冬物衣料を仕入れるために、運転資金(仕入れ)の申込みにいきました。しかし銀行マンは売掛金がたくさん残っていることを指摘し、これを回収すれば今回の借り入れは不要ですよと言いました。 このため社長は当初予定していた借入額が半分しか借りることが出来ませんでした。
社長は売ることには熱心ですが売掛金の回収には無頓着でした。売上を作ることだけにこだわっていたのが原因です。商売は「売ってナンボ」ではなく「回収してナンボ」という資金繰りの原則がわからなかったのです。
このような事態に陥らないようにするためには、「高く売るより早く売る」という債権回収のセオリーを守った商売ルールに切り替えることです。具体的には売掛金の〆日や請求書発行日や回収期限をはっきりと決め、経理にも徹底させます。イレギュラーな売掛金(滞留)を早く発見しその原因と対策を急いで立てて実行しましょう。 理想的には売掛金の入金は売り上げて最長1ヶ月です。(買掛金は〆日から2ヵ月後支払いが理想)
私が昔関与していたある小売店の実例です。
その経営者はお人よしで社員を家族のように大事に考えていました。そのため、自分の役員報酬を抑えてでも社員に高い給料を払うことを誇りにしていました。
しかし、リーマンショックの影響を受けて急に支払いが苦しくなりました。
会社の預貯金を取り崩しても間に合わず社長が不足分を補おうとしたのですが、もともと役員報酬が低いため個人の預貯金もわずかしかありませんでした。このため支払手形が不渡り手形になるという危機に陥り、最終的には親戚中を駆け回ってお金を集めて事なきを得ることができました。
経営者は会社にお金が無いときは自分の貯金を取り崩してでも資金繰りにまわさなけばならないという自覚が無かったことが原因です。社員の幸福だけを考えていて会社のリスクに対する自衛策を考えていなかったことにつきます。
こういう事例を避けるには社員平均給与の3倍はとるようにしましょう。社員が月額30万ならば90万くらいが妥当でしょう。
もちろんすべて使ってしまっては何の意味もありません。経営者個人名義でしっかりと預金してください。借金の年間返済額の2年分ぐらいは最低でも個人貯金してください。