これからの人口減少時代を考えたとき、これまでの「売上げ至上主義」にこだわる経営に、私は少し違和感を覚えます。
もうそんな時代はとっくに終わっていると・・・。
私が社会人になって40年以上が経ちます。
就職期は第一次オイルショックで就職先がなく、独立開業したときは、第二次オイルショック。その後バブル期を経験し、さらにはリーマンショックと、その後の失われた20年・・・。ここに至って少子高齢化の波が押し寄せ、決定的な人不足。生産年齢人口に減少・総人口の低下などで、売上げが前年を超えたり、100%維持する事が困難な時代になってきました。
ここでは、これまでの「売上げ至上主義」から「必達利益達成」へと、大きく舵を取ることによる、これからの企業生き残りのための『提案・ヒント』を以下に述べてみます。
経営者の皆様に少しでも役に立てば幸いです。
この先の説明とブロック図表は、私達キャッシュフローコーチが主に使用するモノです。図に沿って説明していきます。
売上げは「単価×客数×購買頻度」で決まります。
これから先の商売では、急激な人口減少を考えると、「客数」の増加はあまり見込めそうにありません。そうすると、まずは「単価」の見直しから始まるのが一般的です。しかし、これまでの商品・製品・サービスを、単純に値上げ出来るはずもありません。
そこで大幅な見直しが要求されます。付加価値を上げると言われるのが、これですね。
単価のアップにふさわしい内容・満足度を満たすことが要求されます。ブランド化が叫ばれているのはご承知の通りです。
「購買頻度=リピーター」も大切です。今以上に頻繁に購入してもらうための仕掛けが必要になります。
これら3要素をもう一度見直す事で、我が社はどこにこだわるのか、活路を見いだすのかが、これからの大切な経営戦略となるでしょう。
売上原価の見直しも必要です。
経費の中で一番のウエイトを占めるのが原価です。サービス行など、原価がない業種もありますが、ここでは原価がある業種について述べます。
原価の主なモノは、①材料費、②外注費、③労務費、④現場経費 …などでしょうか。
これらの一つ一つを抜本的に見直すことで、相当な経費圧縮が可能となります。私の経験では、特に仕入れ先の見直しをしていないところが、以外と多いですね。単価の硬直化が見られます。相見積もりなどをしてはいかがでしょうか。あと、仕入れ担当者との癒着が見られることがたまにあります。業者との適切な関係は出来ていますか?
ここにある「労務費」については、後に述べます。
売上げから売上げ原価を差し引いたモノが「粗利益・売上げ総利益」です。
売上げ原価のない業種では、売上げ=粗利益になります。企業の全ての支払いは、この粗利益から出る事になりますから、この確保は、企業存続のためにも、最重要項目と言って差し支えありません。
売上原価は、別名『変動費』と呼ばれます。これは、売上げの上下に連動して出て行く経費だからです。
一方で、粗利益から支払われる経費のほとんどは、売り上げに関係なく支出されるので、『固定費』と呼ばれます。この粗利益から固定費を引いたモノが、税引き前利益と呼ばれるモノです。
固定費は先に述べたように、売上げに関係なく出て行きますから、粗利益がこれら全ての支払いをカバーできなかったら、会社は赤字となります。
固定費の中で最大のモノは人件費でしょう。
大まかに言うと、粗利益の60%近くを占めています。(業種・規模によりますが)企業は、そこで働く人の人件費を払うために存在する、と言われていたことを思い出します。ここが最大のポイントです。一人当たりが稼ぐ粗利益額が、今後は企業の存続を左右する、と言っても過言ではありません。
売上げはお客様が決めます。原価の低減にも限度があります。固定経費の圧縮にも限界はあるでしょう。そこで最後の頼みは「社員1人当たりが稼ぐ粗利益額」です。
この指標こそ、企業が生き残るかどうかの分かれ道となるでしょう。その仕組みを作る事が出来た企業は、しっかりとした利益を出し、納税もでき、社員にもそれにふさわしい待遇を与える事ができ、優秀な社員が残ってくれるでしょう。
私たちキャッシュフローコーチの必要性はここにあります。(PR!)
中小企業の3大経営資源のひとつは「人:社員」です。
これからの日本では、間違いなく就業人口は減っていきます。外国人労働者でも雇用できれば別ですが、中小企業では、矛で働く人のマンパワーが落ちて来ると、必然的に売り上げも落ちてきます。
人不足の中でこれまでの売上高を維持しようとすれば、社員1人当たりにかかるノルマ?は、今以上になりますから、社員の疲弊が進むことにもなりかねません。
そこで、これまでの社内の仕組み「売上から必達利益まで」の仕組み(システム)を見直す事が急務になります。
ポイントは、
・・・・などになるでしょう。
固定費の2つめは、「販売費・一般管理費」です。中には管理可能な経費で、変動費に近いモノもありますが、そのほとんどは固定的支出です。この経費は売上げ・粗利益額に関係なく支出されていきますから、この部分も稼いでおかないと、会社は赤字に転落します。
経費の節減が叫ばれ、その都度、涙ぐましい努力を行っても、一方で毎年少しづつ上がっていくのが、この経費です。費用対効果を、科目別に洗い出す事が重要になります。
粗利益から「人件費・販売経費」を差し引いたモノが『税引き前利益』となります。
ここをどれだけ獲得できるかが、財務的な安心経営の目標値となります。損益計算書の順番から言えば、「営業利益や経常利益など」もありますが、ここは後に述べるキャッシュフローの考えから見たとき、「税引き前利益」を記入します。
ここが赤字だと、基本的には新たな資本注入(増資や借り入れなど)を行わない限り、企業は資金ショートのリスクを負うことになります。
この税引き前利益から法人税などを差し引いた残りが、税引き後利益です。
企業規模や利益額によって税率は異なりますが、ここでは分かり易くするために30%としておきます。従って、税引き後利益は70%となりますね。
この税引き後利益と経費に参入されていた「減価償却費」を合計して、私たちはキャッシュフローと呼んでいます。本来のキャッシュフロー計算書とは、根本的に発送が違いますが、これには理由がありますので、後で詳しく述べます。
この合計額から、借入金・ローンの返済や、次なる設備投資の資金・人件費アップへの資金などの支出。またいざという時のリスクに備える内部留保などに回されます。
この支払い・留保予定額がキャッシュフローの範囲内に収まっておれば良いのですが、逆に不足していたら、予定された返済・内部留保が出来なくなります。ここの過不足をキチンと把握して、資金ショートが出ないような利益構造・損益構造を作る必要があります。